突然ですが皆さんは「潜在保育士」という言葉をご存知ですか?
潜在保育士は近年、保育の世界で社会問題になっていると同時に、保育士不足を解消する救世主ともいわれている、注目のキーワードとなっています。
保育士の資格を持っている方もそうでない方も、潜在保育士に関する情報をこの機会に覚えておきましょう。
潜在保育士とは、保育士の資格を持っているにもかかわらず、保育園などの保育に関係した職場に就業していない人のことを指します。
保育士資格の取得者は累計で150万人を超えていますが、その中で潜在保育士は2015年11月の時点で全国に68万人もいるといわれています。
つまり保育士資格取得者の実に半分近くもの人が、資格を持っているにもかかわらず保育の現場で働いていないということになるのです。
では、なぜこれほどの人数の保育士資格取得者が「潜在保育士」になってしまっているのでしょうか。
大きな理由としては、以下の2点が挙げられます。
○結婚・出産
どの職業にでもいえることですが、結婚や出産を機に職場を離れる女性は多いものです。
特に保育士は職業柄「責任を持って子どもをしっかりと育てていきたい」と考える傾向が強いため、子育てに集中するために仕事を辞める方の割合が高くなっているといいます。
「株式会社ポピンズ」が厚生労働省から委託されて行った調査によると、潜在保育士の内の約7割が子育てをしているとのことです。
○待遇面
保育士という仕事の給与面があまり良くないことが大きな問題となっていますが、保育士の資格を取得したものの、仕事量と給料のギャップを感じて退職してしまう方が多くなっています。
また給与面以外でも「拘束時間の長さ」や「職場内および保護者との人間関係」などで悩む保育士の方もたくさんいるようです。
そのため保育士を退職して別の職業に転職をすることで、結果的に「潜在保育士」となっている方が増えているのです。
近年、保育界で大きな問題となっているのが、保育施設への入園を希望しているにもかかわらず入園をすることができない「待機児童」の増加です。
待機児童の人数は分かっているだけでも2015年4月時点で2万人を超えており、さらに潜在的には最大で約80万人の待機児童がいると予測されています。
そのため今から1年後の2017年には49万人の保育士が必要になるといわれているのですが、現状のままだと約10万人も保育士が不足してしまうと予想されているのです。
そこで今、政府が保育士不足解消の救世主として注目しているのが、潜在保育士です。
厚生労働省は、保育士の人材不足を解消するために「保育士の給与改善」「保育士・保育所支援センターの設置」といった、潜在保育士を職場復帰させるためのさまざまな取り組みを行っています。
保育士の待遇が改善されつつある現在は、保育の現場への復帰を考えている潜在保育士にとって、チャンスといえるかもしれません。
子どものために、そして社会問題となっている保育士不足を解消するためにも、潜在保育士の方はこの機会に保育の現場への復帰を考えてみてはいかがでしょうか。