「IoT」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。IoTとは、「Internet of Things:モノのインターネット」のこと。
身の回りのさまざまなものをネットに接続し活用するというものです。
近年、介護の現場でもIoTの導入が進んでおり、さまざまな活用がされています。
ここでは、介護の現場におけるIoTの役割や、その活用事例などをいくつかご紹介します。
現在日本は超高齢化社会と言われ、医療・介護の現場は慢性的な人材不足が深刻になっています。
人材が不足すれば、当然介護スタッフ一人当たりの業務負担が増えます。
重労働から介護職離れが進み、ますますスタッフ一人当たりの負担が増えるという負のスパイラルです。
IoTを導入することにより、それまで人間がおこなっていた業務を「モノ」が代わりにおこなえるようになります。
そうすることで介護スタッフの負担が軽減し、増加する介護職離れにストップをかけられることが期待されています。
高齢者や要介護者の命を預かるという側面がある介護職において、IoTの導入はスタッフの精神的な負担軽減につながるとも言われており、人材不足による課題の解消が、介護の現場におけるIoTの役割であると言えるでしょう。
実際にIoTが介護現場においてどのように活用されているのか、その事例をいくつかご紹介しましょう。
●排尿センサー
「トリプル・ダブリュー・ジャパン」が開発した排尿センサー「ディーフリー」は、要介護者の排尿のタイミングを的確に予知するセンサーです。
ディーフリーの超音波センサーを膀胱付近の下腹部に貼ることで、膀胱内にたまった尿の量を測定できます。
尿の量に応じて「何分後に排尿のタイミングが来る」という通知を、ネット回線を通してタブレットなどの端末に送ることが可能です。
介護の仕事の中でも最も大変な排尿・排泄の介助が格段に楽になります。
●動きセンサー
排尿センサーのほかに、天井などに設置して入所者の動きや脈拍などを感知するセンサーも活用されています。
センサーが入所者の動きや脈拍を感知し、「入所者がまったく動かない」、「脈が弱い」など何か異常を見つければスタッフの端末に通知を送ります。
24時間体制で入所者の状態を確認することは、離職者の多い介護の現場においてスタッフへの負担が大きいです。
動きセンサーの導入でその負担を軽減することができるようになります。
介護現場へのIoTの導入により、スタッフの負担を軽減させ、職場環境を改善することができるようになります。
職場環境を改善できれば介護職離れの歯止めになるでしょう。
また、IoTの導入は人間では目の届かなかった部分の管理も可能にし、入所者の安全性も確保できます。
IoTの活用が進み、人材不足を減らし、より快適で安全な介護現場が作られるといいですね。