2013年の労働契約法の改正により有期労働契約者の契約期間に5年という上限が設けられました。
5年以上その労働者を働かせたい場合、就業先の企業はその労働者を無期雇用に転換しなくてはいけません。無期雇用への転換はその従業員による申し込みがあった際の適用になります。
2018年3月は、2013年の労働契約法改正からちょうど5年。
多くの有期雇用労働者が無期雇用へ転換するかどうかの選択をすることになります。
有期労働契約を無期化することは従業員側にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
今回は有期労働契約の無期化のメリットと注意点をご紹介します。
まずは無期労働契約となるための条件を確認しておきましょう。
●通算で5年を超える契約期間がある
5年の契約期間があれば条件クリアになります。
契約期間ですので、産休や育休で1年間休職していても、契約が続いていれば期間に含まれます。
ただし契約が途中で途切れた状態で休職した場合、その期間はクーリング期間に数えられ、対象の期間になりません。
●2回以上有期労働契約の更新をしている
●社員が契約期間内に無期労働契約の申し込みをした
以上の3点がすべてそろうことが有期契約の無期化をするための条件になります。
では、無期転換制度のメリットを見ていきましょう。
●契約更新の必要がなくなる
契約期間が無期になるので、途中で契約を切られてしまうという可能性がかなり低くなります。
●仕事内容は変わらない
契約期間が「有期」から「無期」になるだけで、仕事の内容は有期契約社員だったころと変わりません。
責任が増すこともなく、それまで通りの仕事を継続することができます。
契約期間が無期になることは、安心して働けるという点で大きなメリットがあるものであると言えます。
しかし、押さえておくべき注意点もありますので知っておきましょう。
●正社員になれるわけではない
無期限で契約してもらえるのなら正社員と変わらない立場になれると勘違いしてしまう方もいるかもしれませんが、そうではありません。
前項で少し触れたとおり、あくまで契約期間が「有期」から「無期」になるだけで、その他仕事内容や給与、待遇などは一緒です。
●むしろ正社員から遠くなることも
雇用する側からしたら、有期の契約社員を無期契約で雇用することで、正社員ほどの給与や待遇を与えることなく労働力を確保することができます。
そのため正社員として採用する必要がなくなり、正社員への道が遠くなることがあります。
有期契約の無期化をして、無期契約社員になることに向いている人は、「現状の給与や待遇、そして仕事内容に満足している」人であると言えます。
契約期間が無期になることで心にゆとりを持って働くことができるようになるでしょう。
逆に正社員を目指しているのであれば無期契約はしないほうがいいかもしれません。
ここで紹介したことは2017年9月時点での内容です。
今後法律が改善されることもあるでしょうし、企業側がそれぞれで無期契約社員に対する待遇について独自の対処策を講じていく可能性もあります。
今後も労働契約法の動向についてしっかり注目していきましょう。