厚生労働省が、平成30年度の保育対策関係予算概算要求を財務省に提出しました。
平成30年度の保育対策関係予算概算要求の概要における、「待機児童解消に向けた取組の推進の項目」についてご紹介します。
厚生労働省は、待機児童の解消に向けた取組として、保育園の整備の推進、認定子ども園・小規模保育事業所などの「保育の受け皿」の拡大を推進します。
「子育て安心プラン」に基づき、補助金をかさ上げするなどし、保育事業の拡大を意欲的におこなう自治体の支援をします。また、賃貸方式による小規模保育などの推進もおこないます。
保育の受け皿拡大に向けた取組の推進に振り分けられた予算は以下の通りです。
【保育の受け皿拡大】
・ 保育園の整備の推進:946億5200万円
・ 改修による保育園等の設置支援:188億6000万円
・ 賃貸方式による小規模保育等の推進:7億300万円
合計1142億1500万円
保育の受け皿を拡大すると必要になるのが保育人材です。保育人材を確保するため、厚生労働省は保育補助者の雇い上げ支援の際の資格要件(子育て支援員研修などの受講)の見直し、緩和をおこないます。
また定員規模に応じた補助者の加配によって事業の拡充などを目指します。
そのほか、保育従事者にかかわる保育士資格の取得支援の際の支給時期の見直しや、潜在保育士(保育士資格を持っていながら保育の仕事に就いていない人)の就職支援なども振り分け予算の対象です。
保育士の質の向上や人材確保をおこなうため、「保育士等のキャリアアップ研修」などの各種研修を実施します。
保育人材確保対策に振り分けられた予算は、140億8500万円です。
待機児童問題を解消するには、保育園の整備や保育人材確保だけでは実現しません。
そもそも自宅の付近に保育園がなければ子どもを保育園に預けることが難しくなります。
そのため厚生労働省は、遠方にある保育園などの利用を可能にする送迎バスの実施や、家庭保育など、さまざまな形の保育の実施を推進しようとする事業者・連携施設を支援します。
厚生労働省がおこなう支援の主な内容は以下の通りです。
・ 広域的保育園等利用事業【拡充】
自宅から遠い保育園に通う児童のために送迎バスを利用した送迎の支援をおこないます。
・ 医療的ケア児保育支援モデル事業【拡充】
医療的ケアを必要とする児童を受け入れられる保育園を増やすため、看護師配置や、保育士が痰吸引などに関する研修を受講することを支援します。
・家庭的保育コンソーシアム形成モデル事業【新規】
複数の家庭的保育事業者がコンソーシアム(共同事業体)を形成し、情報やノウハウを共有などができるようにするための体制づくりを支援します。
上記のほかにも、「保育環境改善事業」、「保育利用支援事業」、「サテライト型小規模保育事業」、「認可を目指す認可外保育施設等」などへの支援をおこないます。
多様な保育の充実に向けた取組に振り分けられた予算は79億9900万円です。
待機児童問題解消に向け、ほかにも「安心かつ安全な保育の実施への支援」として、保育園等への巡回指導や、事故予防研修などの実施の支援などもおこないます(「安心かつ安全な保育の実施への支援 振り分け予算:30億7600万円)。
平成30年度の保育対策関係予算概算要求の「待機児童の解消に向けた取組の推進」の項目の概要は以上の通りです。
保育対策関係の取組にしっかり予算が振り分けられ、保育の労働環境が整うといいですね。
*予算概算要求の詳細は【厚生労働省子ども家庭局保育課 平成30年度保育対策関係予算概算要求の概要 資料2】より抜粋