このところ保育士不足を発端として、保育園数の少なさや待機児童が話題になることも多いです。
「保育園落ちた、日本死ね」といったフレーズは物議をかもし、世間を賑わしました。
保育士数の不足が取り上げられるなか、国からも保育士確保プランが打ち出され、保育士の資格を持ちながら保育士の仕事についていない「潜在保育士」の復帰が望まれています。
潜在保育士が保育士職に復帰することで得られるメリットや、復帰するためのサポート体制などについてご紹介してゆきます。
就業が決まった保育士に15~20万円の一時金を貸し付けます。
このお金は転居費や交通費などにあてられ、その後の勤務期間によって返済が免除されるものとなります。
しかしこれは逆に言えばその後の勤務期間が短い場合は返済が必要とされ、また職業に縛り付けられることにもなるので、効果があるのかを問題視する声も大きくなっています。
就業している保育士の子供が優先的に希望の保育園などに入れるようにするための仕組みがあり、保育料も上限はありますが、半額となります。
これに関しては潜在保育士からの評判はよく、この措置によって復職が現実的になったという意見もありました。
平成27年4月からスタートした子育て支援新制度では民間保育所で働く保育士の給与が、平均で3%改善されます。
また平成26年度の公民給与の見直しに際しては保育士の給与が平均2%程度改善されました。
平成27年度からは保育士の基本給与が合計で5%程度の値上げが決まっています。
金額にするとこれまで保育士の平均給与であった勤続10年で手取り15万円程度から考えると7500円ほどのアップとなっています。
しかしそもそも、保育士という国家資格を持ち他人の命を預かるという負担の大きな仕事であるにも関わらず、勤続10年での手取りが15万円程度という額が保育士からの離職を招いている現実は変わらず5%の増加では事態の改善にはなっていないという
声が多いのが現実です。
保育士から離職してからの期間が長く、職場復帰の希望はあるものの不安もあって踏み出せないという潜在保育士のために、保育士・保育支援センターでは保育実技研修の実施を行っています。
これら複数の施策は着実に積み重ねられ、少しづつ保育士にとって働きやすい環境は整備されてきています。
しかし、現状ではまだ行政からのサポートは弱く、潜在保育士に復帰を強く促すほどの力はないというのが現状でしょう。
実際これらの緊急対策を受けての潜在保育士に対するアンケートでは8割が保育の仕事に再度就くことを考えていないという結果が出ています。
国には保育士復帰のために本当に必要とされているものが何であるかをしっかりと把握し、その対策を行って貰いたいものです。