最近では、保育士の減少問題や待機児童問題を耳にすることが増えてきました。
保育士の不足などを理由に、現在保育所が子どもを預かることができなくなっている状況があります。
その解決策として、厚生労働省は「保育士確保プラン」を発表しました。
ここでは保育士確保プランについての説明と、厚生労働省の今後の計画や新たな施策を紹介します。
平成27年「待機児童解消加速化プラン」における確実な実施を目的として、厚生労働省から発表されたのが「保育士確保プラン」です。
「保育士試験の年2回の実施」「保育士の待遇改善」など保育士を増やしていくための対策を盛り込んだ計画書で、これを実施することによる人材育成や再就職者の増加を狙っています。
厚生労働省は、各自治体に対し支援策などを講じるなどし、平成29年度末までに6.9万人の新たな保育士確保を目指しています。
平成25年度当時の保育所勤務の保育士数は37.8万人でした。児童の増加数から平成29年度末には46.3万人の保育所勤務の保育士が必要であると推計されています。
その必要人数から自然増加人数と推定される2万人を差し引いた数が、6.9万人です。
この目標達成のため厚生労働省では「既に待機児童解消加速化プランによって取り組んでいる施策」「新たな取組みの実施」「更なる検討による施策の強化」の3つの項目を推進するとしています。
従来の保育士確保施策に加え、厚生労働省は新たな取り組みを実施するとしています。
前記の「保育士試験の年2回の実施」と「保育士の待遇改善」という2つの項目に
「学生に対する就職促進支援」「保育士試験受験のための学習費用の支援」「離職保育士に対する再就職支援の強化」「国家資格保有者に対する試験科目等の一部免除の検討」という4つを加えた計6つの取り組みです。
各項目の内容は以下の通りです。
(1) 保育士試験の年2回の実施
児童福祉法で各都道県知事が年1回以上実施するとされている保育士試験を年2回実施にするための取り組み。国としても各都道府県への支援。
(2) 保育士の待遇改善
新制度が施行されたのちの公定価格に基づき、勤続年数や経験に応じた処遇改善を推進。
(3) 学生に対する就職促進支援
卒業する予定の学生を保育所に就職するよう支援している指定保育士養成施設に対する、就職促進のための費用補助。
(4) 保育士試験受験のための学習費用の支援
保育士試験の受験者に対する、講座受講料などの一部援助。
(5) 離職保育士に対する再就職支援の強化
・離職した保育士に対する、保育士・保育所支援センターへの登録促進
・また同時に再就職希望状況の把握、求人などの情報提供
・再就職支援についての取組の広い情報共有
・シンポジウムや出張相談会の実施による、保育士・保育所支援センターの利用促進
(6)国家資格保有者に対する試験科目等の一部免除の検討
社会福祉士・介護福祉士などの国家資格所有者に対する児童福祉法施行規則の規定する、修業教科目と一部履修の免除と試験科目の一部免除の検討。
以上が保育士確保プランによって新たに追加された施策です。
これらの施策を推進することで「人材育成」「就業継続支援」「再就職支援」「働く職場の環境改善」の「4本の柱」と呼ばれる保育士確保施策の基本となる項目を確実に実施するとも厚生労働省は発表しています。
保育士の数が年々減少し、そのために保育所に入所できず待機させられている児童が増えています。
その結果、子どもの親が思う通りに働くことができないなど保育士不足は副次的な問題を生むのです。
保育士確保プランが計画通りに実施され、安心して保育士として働ける社会ができればいいですね。