保育士と言えば、以前まで「保母さん」と呼ばれていたこともあり、「女性の仕事」というイメージが強いかもしれません。
そして実際、割合的にも圧倒的に女性のほうが多いようです。
しかし保育士の仕事は何も女性にしかできないものではありません。
ときには男性だからこそできる仕事内容もあります。
ここでは近年増加傾向にある男性保育士についてご紹介します。
以前まで、保育士は「保母さん」という名称で呼ばれていました。
子どもの世話は女性がするものというイメージから、保育士という仕事を選択する人が女性ばかりだったからであると考えられます。
「女性が行うこと」というイメージのあった仕事であるうえ、「保母さん」と呼ばれることに抵抗のある男性が多かったというのも、男性保育士が少ない要因のひとつだったかもしれません(当時男性の保育士は「保父さん」と呼ばれていましたが、これはいわゆる俗称で、正式名称ではありませんでした)。
しかし平成11年に、児童福祉法の改正によって、「保母さん」という名称が「保育士」に改正されます。
男女雇用機会均等法の推進に伴い、職業選択の際に生まれる男女の差を埋めるという目的もあったのでしょう。
呼称変更を契機に、男性保育士の数が大幅に伸び始めます。
平成27年10月の調査で、全国に59255人の男性保育士資格保有者がいることがわかっています。
これは保育士資格保有者の数であり、実際に働いている人の数ではありませんが、それでも保育士という仕事に興味を持ち始めている男性の数が増えていることは明らかであるようです。
保育士の仕事に興味を持ち始めている男性の数の増加に伴い、男性保育士に対する需要も拡大傾向にあります。
保育士資格所有者は、保育園や幼稚園以外でも、児童福祉法の定める児童福祉施設でも働くことができるようになります。
その中には、男性だからこそできるような仕事内容もあるのでしょう。
男性保育士の需要拡大の主な理由を以下に紹介します。
・ 育児のイメージを変えることができる
男性が保育園などで働くことにより、「育児=女性」というイメージを払しょくでき、男性の育児参加を促せるようになるという期待ができます。
・ いろいろな目線で子どもたちと接することができる
女性では気づけないようなことでも、男性だからこそ気づけるということもあるでしょう。
また男性だから理解できる子どもたちの考え方もあるかもしれません。
・ 体力が必要な業務がある
保育士資格があれば保育園だけではなく児童福祉施設でも働くことができるようになります。
施設によっては体の大きな子どもを抱えたり、いろいろな器具を持ち運んだりするということもあります。
そんなときに体力のある男性がいると助かるという施設もあるのです。
以上のように男性保育士の数は増加し、また男性保育士の需要も拡大傾向にあります。
それでもまだ男性保育士が占める保育士全体の中での割合は3パーセントほどに過ぎないのが現実です。
やはりまだ世間では「保育士=女性」というイメージが色濃く残っているのかもしれません。
そのようなイメージが薄くなり、男性でも自信を持って保育士の仕事ができる社会が実現するといいですね。