介護が必要な状態でありながら介護を受けることができない「介護難民」は、社会の高齢化と共に毎年増加傾向にあります。
今後社会的な大きな問題に発展していくと予想されており、迅速な対応が求められている状況です。
今回は、そうした介護難民の現状と今後についてお伝えします。
「介護難民」とは身体に問題を抱えており介護が必要であるにも関わらず、介護施設や介護士の不足などの理由により十分な介護サービスを受けられない方々を指します。
介護難民の数は例年増加傾向にあり、現状が続けば2025年頃には全国で約43万人の方が介護難民になると推測されています。
またその多くは首都圏(東京都、埼玉、千葉、神奈川)に集中しており、全体の3割を占めます。
とくに人口が密集しており団塊世代も多い東京都心部は介護難民の数が著しく増加しているのが現状です。
介護難民が増加している原因については、次のようなものが挙げられます。
・高齢者の増加
少子高齢化、また医療の発展による平均寿命の増加により介護利用者が増えたことが根本的な原因にあります。
今後もベビーブーム前後で生まれた団塊世代がどんどん高齢者に加わってくるため、さらに介護難民が増えていくと考えられています。
・介護施設の不足
介護施設自体は増えてきてはいるものの、介護利用者の増加に対して明らかに不足しているのが現状です。
こちらも介護難民の増加の一端を担っています。
・介護職員の不足
介護職の求人自体は増えてきていますが、こちらも介護利用者の増加に対して明らかに不足しているのが現状です。
介護施設はあっても介護職員の不足で十分なサービスを提供できない地域もあります。
・家庭内で介護ができない
親家族と子家族が同居せず離れて暮らす人が増えたこと、夫婦共働きが増えたことなどにより、家庭内で介護ができなくなってきたのも介護難民の増加に拍車を掛けています。
・費用問題
介護保険制度はあるものの、費用が少ないと受けられるサービスも限定されてきます。
費用不足で本来受けたい介護が受けられず、介護難民となってしまうケースも少なくないと言われています。
国としては増え続ける介護難民への対策として、「介護施設や介護職員の増加サポート」「外国人介護職員や介護ロボットの導入」「都心部など介護難民が顕著な地域の高齢者の地方への移住サポート」などの対策を進めています。
介護に掛かる利用者の費用の問題についても、今後はさらに負担を減らす方針で対策が進められているようです。
国が対策を進めてはいますが、それでも介護難民は今後増えていくことが推測されています。
自分や身近な人がいつ介護難民になってもおかしくない・・・。
それほど身近な問題ととらえ、介護難民になったらどうするかを考え、個人個人でも事前に対策しておくのが良いかもしれません。