日本では「日・フィリピン経済連携協定」などにより、平成20年以降にフィリピン、インドネシア、ベトナムから多くの外国人介護士を受け入れてきました。
そして、2016年には外国人が働きながら日本で技能を学ぶことができる「外国人技能実習制度」に介護職の項目が追加され、さらに増える外国人介護士が与える影響に注目が集まっています。
ここでは、今後増えることが予想される「外国人介護士」がどのような影響をもたらすのかご紹介します。
日本ではフィリピン・インドネシア・ベトナムとの経済連携協定により、平成20年以降、先に挙げた3国から多くの外国人介護士を受け入れてきました。
これまでに日本が受け入れた外国人介護士の総計は568人おり、年々その数は増えつつあります。
なお、この経済連携協定は、労働力の補填という意味ではなく、雇用を提供し経済連携を深めるための制度です。
経済連携協定で受け入れられた外国人は、研修生として雇われ、賃金に加え介護福祉士資格取得に向けての研修等が受けられる優遇が設定されています。
今年2016年には、「外国人技能自習制度」に介護職の項目が追加されます。
外国人技能自習制度とは、開発途上国の若年層に雇用を提供し、日本での技術を学び母国の発展に役立ててもらうための制度です。
今までに経済連携協定で来日した外国人で日本の資格を取得できた人は、約1500人中200人と非常に困難を極めます。
さらには4年以内に取得できなければ帰国しなければならないなどハードルは高いものでした。
会話はできても読み書きが苦手という外国人が多いため人で不足は解消されなかったのです。
そこで外国人の介護人口を増やすために、介護福祉の資格を必要とせずに技能実習を受け、働くことができる「外国人技能自習制度」に介護が追加されたのです。
この外国人技能実習制度で派遣された外国人は研修生として扱われ、賃金に加え技術取得に向けての研修等が受けられる優遇が設定されています。
これらの制度も後押しし、今後、外国人介護士がますます増加することが予測されています。
一見、労働力が不足する介護業界にとって明るい兆しに見えますが、不安要素もいくつかあります。
1つ目は“低賃金による雇用”。
経済連携協定や外国人技能自習制度で受け入れた外国人でさえもやはり低賃金な労働力として扱われることが多く、労働法を無視した不正雇用が問題視されています。
また、それにより介護職全体の賃金水準がより低下する恐れも否定できません。
2つ目は“意思疎通の壁”です。
介護職は、意思疎通、コミュニケーションも重要な仕事の1つとなってきますが、言葉や感性に違いがある外国人介護士には、この点が壁となることもあるでしょう。
特に認知症患者さんの場合は、意思疎通の間違いが致命的なリスクを生むこともあるため、この部分をどう解消していくかが課題となっています。
このように外国人介護士は期待される一方で、不安点も抱えています。
今後ますます需要が増えていくであろう介護職。
外国人介護士がどのような影響を与えていくかに期待していきましょう。