認知症の高齢者などは判断能力が不十分だったり、自分で管理ができなかったりするため後見人が必要になります。
後見人とはいったいどのようなものなのでしょうか。
ここでは、後見人制度の概要やどのような人が後見人になれるのかを紹介します。
1人暮らしの高齢者が悪質な訪問販売員に騙されて高額な商品を買わされたという話を聞いたことはありませんか。
高齢であったり認知症であったりして判断能力の低くなった人たちをそのような事件から守るために、法律的に支援・援助する制度のことを、成年後見人制度と言います。
財産管理に止まらず、本人の生活を支えることが後見人の役割です。
その際、ノーマライゼーション(障害のある人も通常の生活を送れるような社会を作ろうとする理念)や自己決定権の尊重が重要視されます。
そのため、成年後見人が選任されてもスーパーで買い物するなど、日常生活に必要な範囲の行為は本人が自由にすることができます。
成年後見人制度におけるメリット・デメリットを紹介します。
メリット
・本人や家族の意思で信頼できる方を選出できる
・成年後見人が本人の代理になれる
本人の代理になれることで、預貯金などの出入金が可能です。
・判断能力が十分でない方の財産管理をすることができる
・本人がおこなった不利な契約を取り消すことができる
本人がしてしまった契約が不利なものであれば、それを取り消すことができます。
・家庭裁判所が本人の生活を見守ってくれる
デメリット
・企業の取締役などにつけない
そのほかにも、弁護士や税理士などの大きな責任の伴う立場にもなれなくなります。
・財産使用の自由度が減る
成年後見は本人の保護を目的としているため、財産は原則的に本人の保護のために使われる必要があります。
孫の入学祝に多額の祝い金をあげる、相続税対策の生前贈与をおこなうなどができなくなります。
後見人には2種類あります。契約でお願いされた人がなる任意後見人と、家庭裁判所から選任された人がなる法定後見人です。
今は元気だけど今後のことを考えると不安な場合は任意後見制度、すでに判断能力が低下しているのなら法定後見制度を利用することになるケースが多いです。
以下の6つの項目に当てはまると任意後見人になることができません。
1.未成年者
2.家庭裁判所で解任された法定代理人・保佐人・補助人
3.破産者
4.行方の知れない者
5.本人に対して訴訟をした者及びその配偶者並びに直系血族
6.不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適さない事由がある者
5つの項目に当てはまると法定後見人になることができません。
1.未成年者
2.家庭裁判所で解任された法定代理人、保佐人、補助人
3.破産者
4.本人に対して訴訟をし、又はした者及びその配偶者並びに直系血族
5.行方の知れない者
上記の条件に当てはまらない人であれば、後見人になることができます。
以上が成年後見人制度の概要と、後見人になるための条件です。
後見人をつけたい、もしくは家族に後見人を必要とされる人がいるのであれば、ここで紹介したことを参考にしてみてください。